
民間信仰中の石神信仰や、丸石神の基本編。
1誕生 - 丸さの秘密 -
見事な迄に丸い形があれ程たくさんどうやって出来たのか、その誕生は謎に包まれている。山梨名産の水晶球が、職人自らの手で丹念に磨き上げなければ滑らかな丸にならない様に、荒く川底に削られた位ではあのように見事な丸にはならない。
神奈川県真鶴岬付近の海岸では、打ち寄せる波によってか、大量の丸石がゴロゴロしている。川より海の方が、丸石を造り出す率が高い。山梨にそびえる奥秩父の山々は、かつて海であった。丸石はその時代の名残りと思って良いはずだ。
ところが、日本全国どこにだって海があり、海岸がある。その海岸全てで丸石が採取される訳ではない。これは一つの可能性に過ぎないのだ。
そこで話は、山梨から中米コスタリカのオルメカ文明へと飛ぶ。1インチから大きいものは人間大迄、まるでストーンヘンジやモアイを彷彿とさせる巨石丸石文明だ。また、メキシコの鉱山シエラ・アメカにも丸石がある。整列した四・五フィート以上もある五つの丸石に、付近の二十二個、更に別の山でのニ百個以上という丸石祭りでも開かれたかのような有様である。
これらの丸石を調査していたスターリング博士によって、巨大丸石の謎は紐解かれた。丸石の材質は火山岩であり、周囲の山肌と同じである。丸石は、古代の火山活動によって産み出されたのだ。寒寒しい地表から守られた高温ガスを含む火山灰層の深部、子宮に抱かれる胎児のように、石英を核とする結晶が宿る。時と風雨にさらされた灰からようやく産声を上げたのが、この丸石達なのである。
そこで話はまた山梨に戻る。
山梨と言えば、日本のシンボル富士のそびえる火山帯に位置している。このコスタリカ火山活動説をひけば、自然とその謎も紐解けるのではないか。
丸石研究の第一人者である中沢厚は、山梨県石森山の山腹に埋もれる、球と言うには不完全な形の円形石群に注目していた。この石弾も、火山活動による地質時代の結晶体だと言う。中沢厚はこれらの石弾がコスタリカの丸石群に通じるのではないかと、地質学者に資料を持ち寄った。するとドンピシャリ、幾つかの力強い可能性が見い出されたのである。
それらを要約して述べると、一つは約二千年前、火山噴出時代に遡る。灰が凝固した角岩の中に、色々な物が溶けて出来た破片や火山弾が抱き込まれたという説。続いて約二千五百年前、火山活動で海に流れ込んだ溶岩が、枕状や球状に固まり積もったと言うもの。そして六千万年前とどんどん地球は遡り、深成岩という岩の中に、更に溶岩となった別の岩々が入り込み、その上溶岩の中にも石弾が入り込んでいたという、ロシア民芸マトリョーシカ的な場合も考えられるというものだ。また、地層内に「サンドボール」という結晶ができる事や、化石等が核の「マール」と呼ばれる物質が存在する話も上げられる。
諸説様々今だ確定に至っていない形成の謎だが、丸石が大地から産まれ出た子供である事は、地質学上認めても間違いはないだろう。