丸石神紀行

十三年前の地図を頼りに丸石神を求め、山梨県を徒歩で旅したさまよいの旅行記。

  1. 序文:
  2. 丸石神誕生:
  3. 丸石神信仰:
  4. 丸石神分布:
  5. 終文:

2.丸石神誕生 - 4

 話はいきなり、山梨から中米コスタリカへと飛ぶ。どこの国にも丸石好きはいるもので、オルメカ文明の丸石群を研究していたのがスターリング博士であった。コスタリカだけでも驚きなのに、山梨丸石の話に三千年前の古代文明が顔を現すのだから、ど肝を抜かれる。その大きさは時間だけでなく、1インチから大きいものは人間大迄、まるでストーンヘンジやモアイを彷彿とさせる巨石文明だ。

丸石王国メキシコ

 その上舞台はメキシコへと裾を広げ、スターリング博士は鉱山シエラ・アメカに丸石があるとの知らせを受けて駆け付ける。博士を待っていたのは、整列した四・五フィート以上もある五つの丸石だけでなく、付近の二十二個、更に別の山でのニ百個以上という丸石王国メキシコだったのだ。

 スターリング博士の調査によって、巨大丸石の謎は紐解かれた。丸石の材質は火山岩であり、周囲の山肌と同じである。これらの丸石は、間違いなく古代の火山活動によって産み出されたのだ。寒寒しい地表から守られた高温ガスを含む火山灰層の深部、子宮に抱かれる胎児のように、石英を核とする結晶が宿る。時と風雨にさらされた灰からようやく産声を上げたのが、この丸石達なのである。

 山梨からメキシコ、丸石から巨石文明である。聞くだけで旅でもした様な気分になれる。山梨の道祖神を追っていたのに、時間も空間も超えてしまった。だがここでもう一踏ん張りして、山梨まで帰ってくる事にする。

 山梨は、日本人なら誰もが周知の通り、霊峰富士のそびえる火山帯に位置している。梨は名産ではないが山は伊達ではなく、生死ともに多くの火山が列なる様は、圧巻とも言えよう。このコスタリカ火山活動説をひけば、成るほど説得力がある話ではないか。

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